ボクはディスコに入社した当時23歳だったんです。
でも、ナンパなんてしたことがない純情な青年でした。
だから、ディスコ「ペントハウス9」に入ってビックリしましたよ。
…あまりの「性」の乱れようにね。
ディスコ業界の「性の乱れよう」にビックリ!
- 家出娘と○っちゃって性病にかかったりとか
- ○○才の子を妊○させちゃって親に呼び出されたりとか
- ○り捨てした女に追いこみをかけられたとか
…そんなのばっかし。
「なんてヤツラだ(*´Д`)=3」
って思いましたヨ。
《ダンサーになる》という大志を抱いてディスコに入ったボクは、
…って思ってました。
そんなある日のこと、主任のKさんがボクを「悪の道」に誘い込んだのです。
ブサメン「Kさん」登場!
Kさんは、ディスコ業界では異色の人でした。
…なんつうか「漫才師」みたいな人でした。
ギャルにモテるためには、ふつうは「カッコつける」わけなんです。
でも、Kさんは「笑い」をとってギャルの気をひくという、ディスコの黒服としては珍しいタイプ。
しかし、悲しいことに、このKさんのギャグはぜんぜん受けない。
あまりの寒さにギャルがひいちゃうんです。
また、Kさんは人柄はいいんですが、ルックスがあまりに個性的。
「よくディスコに入れたなあ~」と思わざるを得ないブサメンっぷり。
そんなわけで、Kさんがギャルにモテてるのを見たことがなかったんです。
でも、ある日、そんなKさんがボクに「ナンパのタッグを組もう」と申し出てきたのです。
「ナンパ」を指導されたのはいいんだけど…
…なんてKさんは言ってきた。
Kさんは自分のブサメンぶりを自覚しているようで、それを化粧でゴマかしていたんです。
でも、ほとんど「ただ塗りたくってるだけ」なので、逆にブサイクに拍車がかかってる。
そんなKさんがナンパの指導…?
でも、この業界は縦社会だから、先輩を立てないといけない。
ボクは「ご指導よろしくお願いします。」と答えました。
…などと言って、Kさんはさっそくギャルに声をかけに行った。
店のボックスシートで、Kさんとギャルがなにやら話してるのが見える…。
また、つまらないギャグをぶちかましているようだ。
ギャルは「え~」なんて言いながら笑ってる。
果たして結果は…。
Kさんの「二股ナンパ術」に驚愕する
Kさんは戻ってくると得意げに言った。
…と、胸を張る。
おお!なんだかんだ言ってもさすがディスコの主任。
しっかりと約束を取り付けているんだな…。
ボクが感心していると、畳み掛けるようにKさんは言った。
「Y君、次はあの2人組に声をかけてくるぞ!」
えっ?さっきギャルと待ち合わせの約束したばかりじゃないか!
なにを言ってるんだこの人は?
…ぼくはうろたえました。
「Kさん、さっき、もうギャルを確保したばかりじゃないですか。なんでまたナンパする必要があるんですか?」
ボクが問いつめると、Kさんはこうのたまった。
「Y君、なにを言ってるんだよ。保険だよ保険。もしさっきのギャルが来なかったら困るだろう?こういうものは保険をかけとくんだよ。保険!」
そして、私も「二股ナンパ」の共犯者に!
ボクは、非常に衝撃を受けた!
そんなことアリなのか?
もしさっきのギャル達が約束通り来たらどうするんだ?どちらかをスッポカスしかないじゃないか。
そんなヒドイことしてイイわけないだろう!
これじゃあ二股ナンパだよ!
しかし、ボクの「悲痛な心の叫び」にまったく気づかないKさんは、すでに次の2人組に声をかけている。
しかも、ボクのほうを指さしてニコニコしている。
きっと「あいつも来るんだよ」なんていってるんだろう。
ああ…どうしよう。ボクも二股ナンパの共犯者だ。
ボクは良心がとがめてとがめて仕方がなかった。
ボクは1987年~1991年頃まで、六本木のディスコ業界で働いていました。 当初はダンサーになるために、大学をやめ、ディスコでアルバイトを始めたんです。 でも、そのうちダンサーになる夢はコロ~ッと忘れてしまい、正社員にな …